打ち首こくまろ

限界オタクの最終処分場

ヤバイTシャツ屋さん「Galaxy of the tank-top」が超エモい傑作ですよと言いたいだけ

 ”ヤバイTシャツ屋さん”という名前からして「あっなんか面白い系の曲やってるバンドなんだな」と直感するんだけど、本当にその通りでヤバイTシャツ屋さんの曲には基本的に何のメッセージ性も無い。

床一面に並べて タンスを一面に並べて
その上で踊るんや それがそう DANCE ON タンスや
何やこの歌の世界観 何歌ってもええってもんとちゃう
って分かってるけどそれでも歌う
YES! This is "DANCE ON タンス"や

タンスの上で さあ DANCE and DANCE
踊れ DANCE ON TANSU and DANCE ON TANSU
なんやこれ タンスの上で さあ DANCE and DANCE
踊れ DANCE ON TANSU and DANCE ON TANSU

 「DANCE ON TANSU」と歌いだけのようにしか思えないサビと、そこまで持っていくために用意された「タンスを一面に並べ」るという強引な設定。本当に中身の無い。しかし、語感重視で組み立てられたサビは一度聴いたら忘れられなくなるほどキャッチーで、ライブではここをみんなで歌いながら飛び跳ねるんだろうなぁと想像できる。自分たちの歌ってることの意味不明さに「なんやこれ」とツッコみながら、頭空っぽにして飛び跳ねるんだ。

 ちなみにこの「DANSU ON TANSU」はアルバムの3曲目に収録されているが、同アルバムの「メロコアバンドのアルバムの3曲目ぐらいによく収録されてる感じの曲」では以下のように歌われている。

メロコアのアルバムの3曲目ぐらいに
よく収録されてる感じの曲
メロコアのアルバムの3曲目ぐらいの
ライブでお客さんを無理やり飛ばせる曲 とべー

 「他の奴ののあるあるを言いながら自分もそのあるあるの中に入ってる」という関西人が良くやりがちなボケ、それをアーティストが心血注いで完成させるアルバムの中でやってしまうのがヤバイTシャツ屋さんというバンドだ。

続きを読む

Silent Jokerの歌詞考察、または真壁瑞希とかいうジョーカー

youtu.be

 「Silent Joker」、めっちゃいい曲ですね... 身体はおっさんになっても心はまだまだ中二病です。10年前の僕がこの曲を手にしてたら誇張抜きで1日50回は聴いてました。マジで。この時期に聴いてたら本当に性癖も人生も狂わされるところだった... って、もう狂ってるやないかい! ガハハ。

 過剰なまでに煌びやかでゴシックで激しい音に心動かされるのはもちろん、歌われているのは「言い出したくても言い出せない恋心」というのがまた良い。「もっと上手に伝えられたら...」「素直になりたい」と歌った後に続くのが「月が綺麗な夜ですね」ですよ。もう臨界点寸前まで思いが溢れそうなのに、それでも素直な言葉を伝えることができないんですよ。はぁ。好き。

 さて、歌詞に何度も出てくるジョーカー、「切り札そろそろ見透かして」なんて言葉と共に歌われるものですから、「ジョーカー」=「切り札」=「恋心」、つまり「今あなたのハートの真ん中に Silent Joker」という歌詞は「あなたにこの恋心を打ち明けたい」という比喩表現に聞こえそうですが...

 「切り札」=「恋心」なのは間違いないと思いますが、ここでは少し違う解釈をしていきたいです。

続きを読む

読書感想文『月は無慈悲な夜の女王』

 人類の歴史において、抑圧する側・される側という構図は常に存在する。抑圧され支配される側は不満を抱えながらも、領主に土地や階級を与えられ、政府に安全を保障されるというギブアンドテイクの関係が成り立っていて、ガス抜きされている。そのバランスがおかしくなると不満がパンクし、暴動が起き、反乱が起き、革命が起こる。これまでの歴史ではそのような事が幾度となく起こってきた。未来においてもそのはずだ。

 我々は月に住む人間だ。月で収穫された食物は飢饉にあえぐ地球のために相当数を輸出しなければならず、代わりに与えられるのはわずかな貨幣。月に置かれた行政府の連中は横暴で、少しでも反抗するそぶりを見せたら徹底的に弾圧してくる。そんな状況に腹を据えかねていた頃、このまま行くと月は数年以内に資源が枯渇し、食糧危機・人肉の共食いが避けられないとの試算が出た。我々は資源を月に輸出してばかりで、地球からは何も返ってこないからだ。

 我々が生き残る術は、あの憎い行政府を打ち倒して、この月世界の独立を勝ち取るしかない。さて、我々には何がある? この月世界で相当な切れ者として有名な無政府主義者の教授、見目麗しくエネルギッシュな革命運動家の女性、そして何より、会話もできて自己学習もできて未来予測もできて自己プログラミングもできる優秀な計算機・マイクもいる。布陣としては十二分過ぎる。しかし...... 月は犯罪者たちの流刑地で、彼らの中には愛国心や独立心など全く無かったのだ。


 「月は無慈悲な夜の女王」は1966年に発行されたSF小説。半世紀以上経ってもSFのオールタイムベストとして名高い作品です。内容は知らなくてもどこかでタイトルは耳にした事があるのではないでしょうか。関係ないですが「君は淫らな僕の女王」ドシコいですよね。

 あらすじは上記の通り、月・地球間の独立戦争を題材とした物語なのですが、月世界は国でもなんでも無いため、個々人に不満は渦巻いていても、団結して地球に一発喰らわせていこうみたいなマインドは最初っから無いんですよね。いくら優秀なブレーンとチート級のスペックを持つ計算機がいたところで、月世界がバラバラでは圧倒的武力を持つ地球軍には敵いません。

 というわけで、この物語は「月世界での独立の機運」「地球での月世界の独立を認める世論」の二つを醸成するための地道な政治的作業が大半を占めます。星間戦争でドンパチのような展開を期待していたらちょっと面喰らうかも。僕もそうでした。

 ただ、そのための方法論・組織論がかなり理にかなっているんです。革命を起こすためには相当数の人間を味方につけなければなりませんが、人数が増えるだけ行政府側のスパイが入り込む余地も増えていきます。ではどうやって、スパイが入り込んでも大丈夫な組織を作ればいいのか。それがこの本の中で語られているのですが、なるほどという感じです。その他にも、主人公たちはあの手この手で月世界の世論を変えよう(団結して行政府に反抗させよう)とするのですが、それもかなり丁寧な描写なのでリアリティがあります。まるでこの方法を実践すれば簡単に政府を転覆させる事ができると錯覚するみたいに。気分は外山恒一

 難を言うとすれば、物語の大筋はほぼ主人公側の意のままに進むのであまりハラハラドキドキする展開が無いということでしょうか。物語というよりは、初期条件とゴールを定めた思考実験といった感触を覚えました。いや、でも流刑地としての月世界を背景とした、月の住人達の暮らしぶりはなかなか興味深かったですし、計算機のマイクはユーモアを解し時には笑えない冗談まで起こしてしまうお茶目な奴ですし、その他の登場人物もちゃんと個性が立っていて、そうした端々のディティールが細かく魅力的に描写されていることによって、この物語全体も説得力があるものに仕上がっているんだと思います。

 あと、まぁこれ仕方ないんですけど、訳文がかなり直訳気味でかなり読みづらかったです。去年の11月の終わり際に少し読んで「ウッ」となってしまったので、このお正月に集中して読むことにしました。まぁ元の文章がかなり訳しづらいものだったらしいですが、それにしても40年前の初訳から一切改訂されていないらしいですよ。傑作SFとして今でも名前が残っているんですから、新訳版出してくれませんか、ねぇ...

いい加減、ルーテさんの結婚相手に最も相応しい人を決める

ルーテさんの結婚相手候補にはアスレイ・カイル・ヴァネッサ・ロス・ノールの5人がいる(意義は認めない)。しかし、こんなに多くの選択肢からルーテさんはちゃんとした結婚相手を選べるだろうか? 変な男(女)に引っかからないだろうか。ここでは親戚のお節介ババァと同じように、「ルーテちゃんにはこの男(女)が似合うと思うわよ〜」と適切な結婚相手を斡旋していきたい。

続きを読む

ルーテさんbot改造計画(後編)

ルーテさんアドベントカレンダー 17日目の記事です。

kokukoku.hatenablog.com

前編でbotを作成することができましたが、このままだとPC上で動作させておく必要があリマす。つまり寝ても覚めてもPCをずっと起動しておかなければならず非経済的です。

なので、クラウドサービスを利用してルーテさんbotを稼働さることにします。具体的にはHerokuです。

続きを読む