打ち首こくまろ

限界オタクの最終処分場

初星宴舞に行って色々とぶっ壊された話

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1/6〜7に開催された「THE IDOLM@STER ニューイヤーライブ!! 初星宴舞」に行ってきました。

4年前にTSUTAYAアニマスを借りて見て号泣するなどしてましたが、結局アイマスに本格的に入り込んだのがミリシタが配信された後の昨年8月。全部真壁瑞希のせい。

そしてこの度、実に4年ぶりにAS組の単独公演が行われるということなので、二日間参戦してきました。

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アイマスで一番好きな曲が、四条貴音のソロ曲の「風花」。それが生で聴けるまたとないチャンス!! ということでCD20枚積んで2日間のチケットを確保しました。まさかアイマスにハマってわずか3ヶ月でCDガン積み限界オタクになるとは。...まぁ初星宴舞では風花やらなかったんですが。辛い...

アイマスのライブは友人が当ててくれた昨年10月のAS組とミリオン組の合同ライブ、「THE IDOLM@STER 765 MILLIONSTARS HOTCHPOTCH FESTIV@L!!」の2日目が最初でした。後半のセットリストがコール&レスポンスを無限に要求されるものばかりで、喉と腕が完全に破壊されたのを覚えています。

初星宴舞の2日間参戦では体が持つのだろうか... と心配していましたが、日頃の鍛錬のおかげか(?)、サイリウムを振りまくった右腕の関節がやや痛むくらいで大事には至らず。代わりに破壊されたのが、アイマスというコンテンツに対する既成概念でした。

あまり意識はしていなかったのですが、どうやら自分の中で「声優アイドルライブはこんなもの」みたいなラインがあったっぽいんですよ。「HOTCHPOTCH FESTIV@L!!」は超楽しかったんですけど、曲に合わせてみんなで盛り上がるお祭りイベント的な楽しさで、ステージ上のパフォーマンスについてどうのこうの思うまでは行かなかったんですね。

ところが初星宴舞では、そのハードルを大きく飛び越えられた、と言うよりブルドーザーで思いっきり薙ぎ倒されたような衝撃を覚えました。「声優アイドルにしてはすごいパフォーマンス」どころじゃない、えげつないものを見せつけられた気分。

ライブの見所は挙げればキリがありません。新曲の「Funny Shufle」はかわいいながらもしっかりトラップミュージックしててアガったし、同じく新曲の「LEMONADE」はオシャレな曲調と伸びやかなサビが会場に映えたし、「いっぱいいっぱい」では声が枯れるほどコール出来たし、「BRAVE STAR」は会場中のシンガロングが気持ちよかったし、「風花」は聴けなかったけど同じく四条貴音のソロ曲の「フラワーガール」は最高にかわいかったし、「自分REST@RT」はもうイントロだけで泣けるし、あと「隣に...」は最近色々あったから泣けてしまったし...

まぁそう言うところは他に詳細なライブレポが上がってるのでそちらに任せるとして、2日間延べ48曲の中から個人的に衝撃を受けた4曲をちょっと紹介します。

Next Life

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我那覇響のソロ曲。ジャンルとしてはサイケデリックトランス。音ゲーとかによく入ってるやつです。それがアイドルの曲って...

CDで聴いたときには微妙だなーと思ってスルーしていたのですが、それもそのはず、サイケデリックトランスはダンスミュージックで、ダンスパフォーマンスと合わせて初めて完成する... という当たり前の事実を、このライブで突きつけられました。

バックダンサーを従えて登場した響役の沼倉さんですが、彼女自身も踊りながら歌う。そのダンスも本当にキレキレで一分の隙もない。全国ツアーで何度も披露するのならともかく、このライブ一度きりの披露になるのに、なんでここまで仕上げられるのか?

この曲の前に演奏された煌びやかなトランスの「Day of the future」と比べると地味ともされかねないこの曲ですが、レーザービームが飛び交うステージ上でまさに完璧にダンスを演じきっている沼倉さんの姿を中心に、徐々に会場はゾクゾクとした異様な雰囲気に包まれていきます。会場のそこかしこからざわめきにも似た歓声が上がるほど。

そして中盤。静寂の中、会場中に沼倉さんのコーラスが響き渡る場面で全身に鳥肌が。思わず「やばいやばいやばい...」と声が漏れてしまう。

ただ単にすごいパフォーマンスというだけでなく、盛り上がるというだけではなく、この曲・この声でしか出せないような雰囲気で会場中を支配してしまう。アイマスとかアニソンとかそんな枠に捉われない、完全にぶっ飛んだステージでした。

Rebellion

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再びの我那覇響ソロ曲。いや本当、響Pじゃないんですけど響ソロ曲2曲ともヤバかったんですって。

こちらは「Next Life」とは違ってストレートに熱い曲。観客の皆さんも響のイメージカラーである水色のサイリウムを振って盛り上がります。が...

「胸に逸る音は 誤魔化せない鼓動
 心の奥に波打って 目覚め行く真実の

と歌った途端に、会場中のサイリウムが赤色に染まりました。

予習不足で恐縮なのですが、そんな風習があるとはつゆ知らず、慌ててサイリウムを赤色に変えました。すみません... ただ、この一瞬にして会場が真っ赤に染まった瞬間は本当に壮観でした。

僕はロックバンドのライブには結構行ったことがあります。拳を突き上げてもみくちゃになりながら踊るのは楽しいものです。そんなライブに行っていた学生時代は、同じ場所に突っ立ってひたすらサイリウム振ってるアイドルライブなんてどこが楽しいんだ、なんて思ったりしていました。

ですが違いますね。サイリウムを持つことによって、僕らも演出の一部を担うことができるんですね。楽しい曲でみんながいろんな色のサイリウムを振れば盛り上がるし、盛り上がる曲でみんなウルトラオレンジ持てば楽しくなるし、みんなが青色のサイリウムを持てば幻想的で厳かなな雰囲気にもなる。そういう、観客が一緒になってステージを作り上げることができるというのが、サイリウムというアイテムなんだということをこの時に実感しました。同時に、古参Pの統率力の高さ凄いという事も...

それだけではありません。会場を真っ赤に染め上ながら盛り上げていった最後のサビ、そのラストの部分、突如ステージの後方から強い照明が当たり、ステージ上は何も見えなくなってしまいました。一体どうした? 何も見えない、となってステージ脇のモニターを確認すると、これまでステージ上を映し出していたはずの画面に、なんと響の姿が...

これ以上エモい演出ってそうそうないんじゃないの? というぐらいのエモさ。時間にして数秒ですが、とんでもないインパクトでした。会場中も大歓声でしたし。アニメ・ゲームが原作のライブということを最大限に利用した演出でした。すごい。

CRIMSON LOVERS

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かなり意外なんですが、春香と千早のデュエット曲ってアイマス12年の歴史の中でこの曲含めて2曲しかないみたいですね。

ジャンルとしてはポストロックとかマスロックとか。マスロックとはMath Rock、つまり数学的なように複雑な拍子を組み合わせたロック。日本のロックバンドで言ったら、老舗インストバンドtoeとか、あとPeople in the boxとか。「旧市街」と言う曲を聴けば分かりやすいかも。洋楽で言えば65daysofstaticとかかなぁ。数年前に梅田でやったcinema staffとの対バン懐かしいなぁ...

って、つまりこの曲のジャンルってインディーズのロックバンドが演奏するようなやつで、そもそもアイドルに歌わせるべきじゃないんですよ! 分かりにくいし、シリアスになりがちだし、何よりも拍子がコロコロ変わるから観客もノリにくい。アイマスのメイン二人の貴重なデュエット曲がなんでよりによってマスロックなんだ。これライブでやって大丈夫なのか?

と言う、CDを聴いたときの僕の考えは、実際にライブを見て完全に叩き潰されました。

「Rebellion」の次に披露されたこの曲。歓声の残響が響き渡る中でこの曲のイントロが流れると、会場は即座にサイリウムの色を変え始めます。春香の赤と千早の青。薄暗い照明に炎を吹く舞台装置。そして不穏なイントロが流れ始め、会場の雰囲気は一気に変わっていきます。

アイマス世界の中では珍しいぐらい挑発的な歌詞に、変幻自在に変わるリズムと展開。歌うのはかなり難しいと思うのですが、それでも二人は完璧に歌い上げます。僕の心配は完全に杞憂でした。僕もノリノリでサイリウムを振ります。ボルテージが上がっていく会場。そして2番。会場にどよめき、ざわめき、そして歓声が上がったのが、モニターに映し出された、スタンドマイクを握り締め妖しい表情で観客席を見下ろす春香役の中村さんの姿...

いつも元気いっぱいの春香のイメージや、二日間ずっと和やかなMCをしていた中村さんの牧歌的な姿はそこにはありませんでした。赤と青に照らされたステージ上で、色気とも殺気ともつかないオーラを纏いながら歌う彼女の姿を見た僕の気持ちを説明する言葉を持っていません。「いや、やばいやばいやばい...」という事しか出来ませんでした。

細氷

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「2日目の千早のソロ曲はarcadiaか約束かどっちかなー」なんて友人と話していたのですが、予想を裏切る選曲。予習不足のため、この曲は全く知りませんでした。ライブでいきなり歌詞を聞き取れるはずもなく、何を歌われているのか全く分からないまま聞くしかありませんでした。

しかし... 歌詞もあまり分からないはずなのに、スモークのたかれた幻想的なステージ、青色に染まった会場、何より今井さんの圧倒的な歌声に自然と滲む涙。喜びでも悲しみでも、共感することや刺さることを歌われた涙でもなく、ただただ歌声に心震わせられての涙。途中、ステージ後方から照明を照らされさらに神々しいオーラを纏いながらクライマックスに登りつめていく歌声を前に、涙をこらえながら立ち尽くすことしかできませんでした。

正直、本業が歌手ではない声優アイドルのライブだから... みたいな気持ちがどこかにあったのですが、考えてみればアイマスに出演されている声優の皆さんは10年以上歌い続けてこられたんですよね。その中でも今井さんは「早熟の天才歌姫」と言う役を与えられ、その影に必死で食らいついてきた10年間だったはずです。その極致をこの曲で見たような気がしました。ずっと歌に向かい合ってきた彼女だから出せる、心の奥深くを揺さぶる歌声。演奏後の拍手や歓声は鳴り止みませんでした。


人生の中で数十回ライブに行ってきましたが、「楽しかった」よりもまず先に「ヤバかった」が出てくるライブはこれが初めてです。とんでもないものを見させられた... というような気分でした。

アイマスの特にAS組の楽曲群ってかなり尖ってますよね。僕は他のアイドル系アニメ・ゲームの楽曲群をあまり知らないのですが、それらがキャラの印象を壊さないよう、またリスナーに聞き入れやすようキャラソン・アニソンに徹しているのと対照的に、こちらは時折、あえてキャラのイメージを壊すような豪速球や受け止めるのが難しい変化球のような楽曲をぶつけているような印象があります。スポットライトを一箇所だけでなくて、あらゆる所から当てることでキャラの魅力をより立体的に見せようとしているみたいに。

そのぶつけ方もエグくって、「9:02pm」みたいにしっとりした大人のジャズもあれば、「黎明スターライン」のような完全なプログレもあれば、「Little Match Girl」のように危ういほど激しく情熱的な歌もあれば、上記の「細氷」のように歌うことすら難しい曲もあれば、最新曲の「CRIMSON LOVERS」だってそう。楽曲だけ取っても、アイマスは変化を追い求め、ひたすら尖り続けた10年間余りだったと思います。

「初星宴舞」は、そんな尖り続けた彼ら/彼女らの歴史をまざまざと見せつけられたライブでした。そのパフォーマンスはもうアイマスのライブとか、そういったものを超越したクオリティでした。本当に凄かったです。衝撃的でした。惜しむらくは、このライブの映像化が今年末ぐらいになるだろうということ。早くお家で鑑賞したり布教したりしたい...

6月頭には、AS組の後輩にあたるミリオン組が、さいたまスーパーアリーナで単独ライブを行います。先輩が圧倒的なパフォーマンスを見せつけた後で、どのようなライブを展開するのでしょうか。絶対見に行くぞ。