打ち首こくまろ

限界オタクの最終処分場

僕とソシャゲとメギド72

ソシャゲってガチャ回すために金を一杯つぎ込まないといけない点はよく問題視されますが、それと比べて、ほとんどのゲームが「周回」の名のもとに時間をドブに捨てることを強要するデザインになってることは、あまり話題にならない気がします。

グリモア〜私立グリモワール魔法学園〜」というソシャゲをやっていたのですが、このゲーム、イベントで上位になろうと思うと脳死状態で延々とボタンをタップし続けないといけないんですよね。バレンタインイベントなんかでは、南条恋という13歳の少女に小児糖尿病必至な量のチョコレートを与えるため、一日数時間ぶっ続けでスマホの画面をタップし続けること10日間、最終的にスマホの画面が割れ右手が腱鞘炎になり挙句親指が千切れてしまいました。今や右腕は後遺症で義手になっています。

FGOなんかも、キャラを強化するための素材を手に入れるために、一つのステージを何十周もしなければなりません。デレステやミリシタなんかの音ゲーも、イベントのために同じ曲を数十回。パズドラもレアドロップのために周回…

世の中に星の数ほどのソシャゲはあれど、「周回」要素はどのゲームでもあるような気がします。本当にもう、この無駄に時間を無駄にするだけの構造やめてほしいんですけど。なんか、仕事終わった後にアプリを開いてまた仕事をしているような感じになるんですよね。愚者の鎖を集めるだけの、誰にでもできる簡単なお仕事です。

元々がてごわいシミュレーションRPGだった「ファイアーエムブレム ヒーローズ」が満を持してソシャゲ業界に殴りこみをかけてきた時には、こんなソシャゲ界隈に風穴を開けてくれるのかと思ったのですが、結局このゲームも、強いパーティを編成してオート進行で無限に周回するベルトコンベア単純労働ゲームとなってしまいました。なんか、世界を救おうとして闇の力を求めた結果自分が闇に染まってしまったリオンを思い出すので、多分このゲームは聖魔の光石のオマージュなんだと思います。

ハァ、楽しむためにゲームをやってるはずなのに、ゲームをやっても楽しくない作業にばかり時間が費やされてしまう。こんなはずじゃなかった、こんなはずじゃ…

「何を言っているんだいボブ。ゲームにかける時間を減らしたところで、君は一体何をするんだい? 残業してバリバリ働くのかい? それとも小説家にでもなるつもりか? はたまた、街でイケてる女の子を捕まえて一晩中ファックするつもりかい? Huh?」

勘違いしないでくれジョン。僕は根っからのゲーマー、ゲームする時間を削って生み出した時間は、また別のゲームをするのに使うに決まってるだろ。でもその時間は有効に使いたいじゃないか。ただ何の喜びも達成感も感動も得られない周回に時間を費やすよりも、頭を使ったり、ストーリーを味わったり、まだ見ぬモンスターとの対決にワクワクするために時間を使いたいんだ。そんな新しい経験のために時間を使いたいんだ。あとボブって誰だ。


前置きが長くなりました。さて、みなさんの職場や学校のクラスでは「72といえば?」「あぁ、如月千早のバストサイズね」などといったカジュアルな会話が日々繰り広げられているかと思いますが、そのうち、72といえば「あぁ、旧約聖書に登場するソロモン王が使役する72柱の悪魔のことね」と答えるのが常識になるかもしれない、という話です。

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タイトル画面で主人公二人が大号泣していることでお茶の間にもすっかりお馴染みとなりました、「メギド72」です。

Twitter上でフォローしている方々が次々とメギド沼に落ちていって、次第に「メギド最高!」「みんなメギドやって... お願いだから...」等とメギド72を礼賛かつ他人をメギド沼に引きずり込もうとする発言を次々と口にする様を見て、まるでゾンビウィルスに次々と感染する市民を見ているようで「怖っ」としか思わなかったのですが、そんな僕も「今ならキャンペーン中! ガチャでレア出現確率2倍!」という宣伝の誘惑には勝てず、果たして僕もメギドウィルスに感染した哀れな市民の一人となってしまったのでした。かゆうま。

結論から言ってこのゲーム超面白いのですが、まずはこのゲーム、「フォトンドリヴン世界救済RPG」、つまりRPGです。ですので、ゲームの根幹をなす戦闘パートから話を進めていきましょう。

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ターンの始まりには、フィールドの中央に「フォトン」と呼ばれるアイテムが、ランダムな種類でランダムな個数出現します。これを各キャラクターに分配していくのですが、それぞれのフォトンの効果は以下の通りです。

  • アタック - 通常攻撃 & 覚醒ゲージ+1
    • 覚醒ゲージMAXの時、ゲージを全消費して奥義を発動
  • チャージ - 覚醒ゲージ+2
  • スキル - スキルを発動
    • 覚醒ゲージMAXの時、ゲージを1消費して覚醒スキルを発動

面白いのは、このフォトンを敵味方で取り合う点。つまり、アタックやスキルばかり取ってたら、敵にチャージをしこたま取られて奥義食らって一気に壊滅! という事態や、逆にチャージばかりしてても攻撃が出来ず、敵の頭数を減らせずにじわじわと戦線が崩壊... といった状況が発生してしまうわけです。

また、フォトンは1キャラにつき3つまで持てる、つまりチャージで覚醒ゲージを溜めてからアタックフォトンで奥義発動、といったことが1ターンの内に出来るのですが、厄介なことに、スキルの中にはこのフォトンを破壊・あるいは強奪できるものもあります。今の例でチャージフォトンを破壊されてしまうと、ゲージが足りず扇が発動できないことになってしまいます。

一方で、キャラの行動順は素早さのパラメータにより完全固定・かつ画面中にも分かりやすく表示されています。こちらが先手を取れるキャラが多いようなら、敵のうち一体を集中攻撃して倒す(倒されたモンスターが持っていたフォトンは当然消失)という戦略も立てられるわけですね。また、特定キャラのスキルで他キャラの覚醒ゲージを上げ、同じターン中にそのまま奥義を発動、といったコンボも組み立てられるわけです。一方で、ターン途中で敵の攻撃によって状態異常になってしまい、スキルが発動できなくなる、といった事態も往々にして起こりうるわけです。

まとめると、「自分のメギドのスキル/状態」「敵のスキル/状態」「敵味方の行動順序」という事前に与えられた情報を元にして、「ランダムに出現するフォトンをどのように取って/取らせていくのか」というところに尽きるゲームになっています。攻撃ではクリティカルヒット等も発生せず、確率はせいぜいスキルの追加効果の発動に影響を与えるのみで、つまり、自分の採った戦術の巧さ/まずさが戦闘結果にダイレクトに跳ね返ってくるシステムと言えます。理不尽な事故で倒されることもなく、また巧く戦術を組み立てれば、強敵相手にも勝利を収めることができるのです。最高じゃないですか? 自分の思い描いた戦術が見事に決まった時は本当に爽快ですよ。

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そんな「戦術」の面から「戦略」の面に目を移してみます。このゲーム、キャラにレアリティが一切設定されていません。つまり、どのキャラも同じくらい強いし、同じくらい使いどころがある(と、少なくとも運営側は設定している)わけです。で、キャラ同士にも相性があって、リーダーとなっているメギドと相性のいいメギドは、「ターン終了後自然回復」「毒状態回避」「即死効果付与」などの恩恵にあずかれるのです。その上、三すくみによる有利不利といった要素もあるので、編成で考えなければならないことは結構多いです。余談ですが、FGOもそうなんですがこのゲームも何故か剣が槍に有利を取れるんですよね。ソシャゲ界隈は三すくみの創始者たるファイアーエムブレムシリーズにもっと敬意を払うべきです。

ナメたチグハグな編成だと推奨レベル帯であれば大苦戦は免れないので、敵の編成をよく見て自分の編成をコネコネ弄り回す必要があるのですが、これが結構楽しいんですよ。敵が強力な全体攻撃を使ってくるから防御主体のパーティにしたら、著しい火力不足に悩まされることになったりとか、相性ボーナスを最大化するパーティを組んだら、スキルがチグハグな上に三すくみの不利を突かれて手も足も出なかったりとか… いい具合に、すべての要素を満足できるようなデザインにはなっていないので、パーティを編成する上で「どこを重視してどこを妥協するのか?」をクエストごとに考える必要が出てきます。決して編成がテンプレート化することはないので、クエスト進行が作業にならないんですね。

このように、メギド72は「戦略」「戦術」の両面から、常に考える楽しさを提供してくれるゲームになっています。この編成と、フォトンの交互の取り合い、そして偶然の要素が介入しにくいシステムということから、かなり対人戦を意識したゲームデザインになっているんじゃないかと思うのですがどうでしょうか。近々対人要素が追加されたりしませんかね。

ところで、このゲームもキャラを育成するためには育成アイテムを収集しなければなりません。

「へいボブ、それじゃあ台無しじゃないか。アイテム集めのために、そんなファッキン面倒な戦闘を何度もして頭がイカれてしまうまで周回しなければならないんだろ?」

話を最後まで聞けジョン。このゲームの秘密兵器、それは…

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攻略チケット。

なんと、これを使えば一瞬でクエストクリア、育成アイテムも収集できてしまうという魔法のアイテムなのだ!

この攻略チケットも決して貴重なものではなく、ストーリー進行でもらえたり、ゲーム内通貨で店から普通に買えたりします。はっきり言ってRPGの戦闘が楽しいのは、彼我の戦力差が拮抗している時だけなので、こちらが十分に強くなってしまった場合、アイテム収集のために雑魚を延々と倒す作業というのは非常に退屈なんですよね。攻略チケットの導入によって、そんな退屈な作業に時間を費やすことなく、ストーリーの進行と、同じ実力のモンスターとの最も白熱したバトルに集中することができるのです。この攻略チケットの導入は大英断だと思います。

まぁイベントの度に同じステージを周回しなければならないという、ソシャゲ業界の悪しき慣習はこのゲームにもあるのですが、まだサービス開始してから3ヶ月あまり、こうした点もどんどん改良してくれることでしょう。まだ遊び始めて一週間ほどしか経っていませんが、これまでのソシャゲと比べても時間あたりに得られる満足量が随一だと思います。メギドはいいぞ。みんなもやるんだ。

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ちなみに、今一番お気に入りのメギドはダンダリオンちゃんさんです。南条恋と同じくのじゃロリです。人は同じ過ちを繰り返す...