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競馬賭博 ジャパンカップ2023編

 GI・5連勝中の世界最強馬、海外芝・ダートGI制覇の世界賞金王、今年の三冠牝馬阪神でGI・3勝の超高速ステイヤー、ダービーレコードホルダー、昨年の二冠牝馬こしあん

 今年のジャパンカップのメンバーは物凄いメンバーが集った。横山武史とエフフォーリアが高らかに世代交代を告げた2021年、それを皮切りに、ドゥラメンテ産駒・タイトルホルダーが国内王道路線の頂点に立ち、パンサラッサが日本のスピード競馬の遺伝子を中東を舞台に結実させた。ドウデュースを駆った武豊がダービー6勝目を収め、スターホースたちが凱旋門賞に挑む中、国内ではイクイノックスという怪物が目を覚ます。ドバイを舞台に怪物が全世界を震撼させる一方で、牝馬路線ではリバティアイランドが圧倒的な力で君臨する。そしてディープボンドはいつも頑張っている。

 2021年以降、綺羅星のごとく現れた英傑たちが、このジャパンカップの下に集う。メインはイクイノックスvsリバティアイランドという構図なのだが、出走馬の名前を見回しても、これがエフフォーリアが開幕を告げた時代の、一つのクライマックスに思えてならない。

 間違いなく史上に刻まれるレースだ。全力でレース本番を楽しむためにも、全力で予想したい。ちなみに、生涯収支マイナス3万円くんです。買ったら来ません。

展開予想

 今回の展開予想は簡単だろう。おそらく昨年の宝塚記念と同様、タイトルホルダーがハナを切り、出足の遅いパンサラッサがガシガシ追いながら1コーナーまでになんとか先頭に立つ形になる。内枠のイクイノックス・リバティアイランドは、おそらく先団の中で同じような位置取り。

 向正面で先頭に立つのはパンサラッサ。しかし大逃げの形ではなく、それにタイトルホルダーがある程度ついていく形、その後ろにディープボンドあたりが付けるだろうか。イクイノックスはその後ろ、リバティアイランドはおそらくイクイノックスをマークすると思う。ヴェラアズールは中団、スターズオンアースは中団につけたいが、出負けすれば後方からになるかも。ドウデュースはもしかしたら、ダービーの再現を狙い追い込みに賭けるかもしれない。

 1000m通過はパンサラッサ基準で58秒前後、タイトルホルダーで見ても58.5あたりか。アーモンドアイが勝ったジャパンカップよりも2段ぐらいハイペースのイメージ。向正面では縦長の隊列で、動きのないまま直線に入るだろう。馬場状態もあり、2分19秒台の決着もあり得る。

予想

 人気・オッズはレース前日のもの。

◎タイトルホルダー (4番人気・16.5倍)

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 エフフォーリアが告げた時代のクライマックスなら、主役は同じ世代のエースだ。

 菊花賞天皇賞(春)を制し、今年の日経賞も圧勝したステイヤーのイメージだが、タイトルホルダーが一番強かったのは宝塚記念だろう。パンサラッサが引っ張り1000m通過57.6秒の超ハイペース、それを番手で追走し、直線では余力たっぷりに抜け出しての完勝。天皇賞(秋)でのイクイノックスのパフォーマンスは世界を震撼させたが、タイトルホルダーだって、それに匹敵するくらいのパフォーマンスを出しているのだ。

 前走のオールカマーは2着に負けはしたものの、目標はまだまだ先だったし、天皇賞(春)での競走中止の悪夢もある中、手探りでの調整だったこともあるだろう。そこから考えると、パフォーマンスは大きく上げてくると考えられるし、中三週での参戦となるイクイノックスと比較して状態面では優位性だ。そう考えると、16.5倍というのは余りにも低い評価だ。

 後は横山和生がどこまで攻めた騎乗をすることが出来るか。パンサラッサがどれだけのハイペースで逃げても、それについて行く胆力が必要なのは間違いないが、そもそもパンサラッサがゲートが得意な馬ではないため、出遅れて逃げられないという大事故も考えられる。その場合に自らペースを作り出せるか。イクイノックス台頭まで競馬界を引っ張ってきた、タイトルホルダーと横山和生の魂の走りに期待したい。

◯イクイノックス (1番人気・1.4倍)

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 10年ほどという短い競馬歴だが、イクイノックスほど恐ろしさを感じる馬はいない。GIを9勝したアーモンドアイだが、スタミナとパワーを要求された有馬記念では惨敗してしまった。生き物である以上、長所もあれば短所もある。

 しかしイクイノックスはどうか。高速馬場でも勝てる、海外の芝や中山でも勝てる、逃げても勝てる、追い込んでも勝てる、超ハイペースでも勝てる、超スローペースでも勝てる。全く隙がない。本当に生き物なのかと疑われるほどに。

 極めつけの前走の天皇賞(秋)、そのパフォーマンスは史上最強と言っても過言ではないだろう。前半58秒ほどで追走し、後半を57秒台の後傾ラップでまとめるのは異次元過ぎる。このイクイノックスはディープインパクトでも差し切れなかっただろう。はっきり言って、この状態のイクイノックスが出てくるならば、このジャパンカップも負けようがない。

 問題は状態面。中3週というのはイクイノックスとしてはかなりキツめのローテーションになる。そしてそのキツさは、イクイノックスの場合はゲートに現れる。

 顕著なのが今年の宝塚記念だろう。ドバイ帰りで帰国検疫をこなさなければならず、満足行く調整ができず体調が悪かったイクイノックスは、出足が悪く最後方からの競馬を余儀なくされた。結局、3,4コーナー中間からまくって差し切るという芸当を見せたのだが、これまでの5連勝の中で最も危うい勝利だった。他にも、皐月賞から中4週で出走したダービーも、ほぼ最後方からとなり、ドウデュースを捕え損ねている。

 また、もう一つ指摘しておきたいのは、イクイノックスの強さは前半にこそある、ということだ。結局イクイノックスは、前半に攻めた騎乗をしてポジションを確保しても、後半のパフォーマンスが全く落ちない、そこが強さの本質だと言えると思う。ドバイシーマクラシックや今年の天皇賞(秋)がそのパターンだし、逆にポジションを確保できなかった昨年の天皇賞(秋)宝塚記念では、他馬とそこまでパフォーマンスの違いを作れなかった。

 今回、これまでイクイノックスが戦ってきた中でも最強のメンバーが一堂に会したと言える。その状況で出遅れて、後半のパフォーマンスだけでまとめて面倒を見られるだろうか? その上、後ろから差し切ることが困難な超高速馬場でのスピードレースで。

 これまでのパフォーマンスを考えると、1.4倍のオッズで支持されていることは理解できるのだが、上述の通り体調面で不安がある中で、全幅の信頼は置けないだろう。イクイノックスは間違いなく生き物だ。そうだろう。前走からの反動、そしてローテーション。これまでの非生物的なパフォーマンスを小休止して、たまには一服お休みしませんか。生き物ならば。

▲スターズオンアース (5番人気・21.1倍)

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 末脚の絶対量はメンバー屈指にはなると思う。今年の大阪杯では出負けして後方からの競馬になってしまい、ジャックドール・武豊にレースを完璧にコントロールされる中、小回りコースをまくりながらポジションを押し上げ、最後は物凄い足で突っ込んできた。

 追い込みのイメージがどうしても強いが、オークスでは中団から抜け出して完勝しているように、ちゃんとゲートを出ることが出来ればポジションを取れる馬ではある。実際、前走のヴィクトリアマイルでは先行しての競馬が出来ていた。このレースでは前半46.2秒というマイル戦らしいペースを追走し、最後はソングラインとソダシというマイル界の超一流ホース相手に3/4馬身差の3着だった。スターズオンアース自体の距離適性はどちらかというと中距離寄りだと思われるため、この結果はむしろ褒められるべきだろう。

 一頓挫あっての休み明けという所がどうかだが、状態が万全であれば、そしてポジションを取ることが出来れば、このメンバーであっても勝っておかしくないくらいのパフォーマンスは見せていると思う。鞍上のビュイックは日本の競馬でそこまでの結果を残せていないのだが、コロナ禍で来日できていなかった間に物凄い実績を積み重ねた騎手でもある。英国リーディングジョッキーの力を信じよう。

△リバティアイランド (2番人気・3.8倍)

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 三冠の中でもオークスは圧巻だった。フラットなペースを先行して、直線で突き放して6馬身差。タイムの上でもパフォーマンスの上でも、3歳時のアーモンドアイを超えている可能性さえあると思う。

 そのアーモンドアイが3歳でジャパンカップを制したのだが、リバティアイランドが何故連下なのかと問われれば、それはメンバーが違い過ぎるからに尽きる。アーモンドアイの場合は2番人気スワーヴリチャード、3番人気サトノダイヤモンド。当時の牡馬の一線級が集ったレースではあるのだが、今年の怪獣大戦争と比べるとどうしても見劣りしてしまう。

 いつもの年ならば断然の主役候補なのだろうが、スターホースが次々と生まれるこの時代は状況が違う。リバティアイランドは数年に1頭の逸材だが、このレースではその数年に1頭クラスの馬が山ほど出走してくるのに加え、数十年に一度の馬もいる。その中に割って入るのは少し厳しいかもしれないという見解だ。

 加えるならば、3歳牝馬古馬牡馬に比べて斤量が4キロ軽くなるのだが、それは別に有利であること意味しないこと。逆に、3歳牝馬にはそれだけのハンディキャップを与えなければ勝負にならないという事を示唆していると言えるだろう。3歳牝馬が勝つことは簡単ではない。デアリングタクトにハープスターウオッカなど、名だたる名牝たちがその壁に挑んだが、それを乗り越えたのはジェンティルドンナとアーモンドアイだけだ。そしてリバティアイランドが挑むのは、それらの馬が立ち向かった壁よりも遥かに高い。

△ドウデュース (3番人気・14.9倍)

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 凱旋門賞では意味不明な大雨に見舞われ、ドバイではレース直前に怪我で出走取消、復帰戦では主戦騎手の怪我によって直前での乗り替わりと、もう何かヤバめの怨霊に取り憑かれてるとしか思えないドウデュース。どこかでの復活を信じたいのだが......

 しかし、イクイノックスに一方的にボコボコにされた天皇賞(秋)からは好転する材料が揃っている。かかりっ放しの前走だったが、叩き二戦目でガス抜きできている可能性が高いこと、直前の乗り替わりだった前走に比べて、鞍上も作戦の組み立てが出来ること、立場的にイクイノックスをマークせず、自分のレースに徹することが出来るようになったこと。ここまでの材料が揃えば、上位争いに食い込む余地があるのではないだろうか。

 一方で、ムキムキになったことでどちらかというとマイラー体型になったことが少し不安。超ハイペースのレースになると、直線での瞬発力というよりも、スピードを維持することが出来るスタミナが重要になってくるイメージ。多すぎる筋肉量はスタミナの重しにしかならず、その点での心配は正直ある。一方で、3歳の時には2400mを2分21秒台で走ってダービーを勝っている訳なので、本来その適性はあるはず。歴代でも一番好きなダービー馬なので、その復権を信じたい。

消 ダノンベルーガ (6番人気・23.0倍)

 皐月賞1番人気だったが、すっかり善戦マンのイメージがついてしまった。堅実に結果を出す馬なのだが、ベストはスローからの直線勝負だろう。

 昨年の天皇賞(秋)は、パンサラッサの大逃げでそれ以外の馬は超スローペースだった。それを直線鋭く追いかけることが出来たのがイクイノックスとダノンベルーガ。逆に、ダービーや今年の天皇賞(秋)のような展開では、その末脚が削がれてしまう。

 おそらく、今回の展開ではパフォーマンスをフルに発揮することは難しいだろう。ここ最近の国内のレースでは、超高速馬場を活かしてスタートからゴールまで如何にスピードを持続させるかというレースが展開されることが多い。ダノンベルーガが国内でイマイチパッとしない理由はそこにあると思うので、この馬の場合は積極的に海外遠征に挑んだほうが結果が出せるように思う。

消 パンサラッサ (7番人気・30.8倍)

 大好きな馬なのだが...... やはり2400mという距離が難しいだろう。それに、タイトルホルダーが大逃げの形に持ち込ませてくれそうもない。

 パンサラッサの場合、目標は来年のサウジカップ連覇にあると思うので、あくまでもこのレースはその始動戦と、矢作芳人なりのファンサービスという意味合いもあるだろう。怪我からの休養明けということもあるので、無事にレースを終えること、そしてレースを熱く盛り上げてくれることを祈りたい。

消 ディープボンド (8番人気・60.8倍)

 このような超高速馬場でのレースをほとんど経験したことがないというのが大きい。あるとすればコントレイルが勝ったダービーまで遡るのだが、上がり35.1秒とそこまで速い脚を使えたわけではない。どこかで報われてほしい馬だが、ここでは強調材料が見つからない。

 加えて、鞍上の和田竜二が、高速馬場でのレースに不向きなのではと感じる。具体的には、ディープボンドに騎乗する和田は仕掛けどころで派手なアクションで追い始めるのだが、ぬかるんだヨーロッパの馬場でならまだしも、走りやすい東京の馬場では逆効果になるのではと考えている。スタミナはある馬なので、スムーズに走らせることが出来ればもしかするとワンチャンスあるのではとも思うが、ちょっとここでは難しいかな......