車椅子映画館大炎上というスマブラ大会について
Twitter(自称・X)のおすすめタイムラインがこの話題で溢れているので。
もう仕方のないことだけど、人類はこういう不毛な言い争いが好き過ぎる。不毛なのはこの話題が、ということではなくて、言い争いの構図。例えばこの話題にしたって、
- 車椅子ユーザーが映画館に行くことの是非
- 事前連絡せずに映画館に行ったことの是非
- 映画館スタッフの言動・対応の是非
- それをSNSで記載して炎上させた是非
- 映画館のバリアフリー化を進めていくことの是非
- 映画館だけでなく社会全体のバリアフリー化を進めていくことの是非
少なく見積もってこれぐらいの軸はあるだろう。議論というものは少なくともこれぐらいは論点を整理してそれぞれの是非を争うというものだ。ちなみに僕は
- もちろん車椅子ユーザーが映画館に行っても良い
- 事前連絡せずに映画館に行ったのは車いすユーザーの落ち度(ただ、映画館には過去何度も対応してもらっていたようなので、「今回事前連絡をしなかった」というのは仕方ないかも)
- 映画館スタッフが当日対応に苦労したのは分かるが、事前連絡を怠っただけのユーザーに実質出禁とも取れる言動をしたのはめっちゃ悪い
- 車椅子ユーザーがその顛末をSNSに書いたのはなんともだけど、文面がSNSのマジョリティに嫌われるものになっていて、良くないなぁとは思う
- 正直この部分が、炎上がここまで大規模になっている大きな原因なのでは感がある
- 将来的には、車椅子ユーザーも事前連絡なんて気にせず、自由に映画館に行ける世の中になると良いよね!
- それだけじゃなく、社会全体もバリアフリー化を進めていければいいよね!
という意見なのだけど、当たり前の事しか言っていないし、健常者も障害者も含めてこれが世間の意見のマジョリティなのではという気がする。
ところが、おすすめタイムラインに流れてくるツイートを見ると、どうも「映画館も将来的にバリアフリーになれば良い」という人と、「事前連絡せずに映画館に行ったのはそっちの落ち度だろ」という人がひたすら口論をしている印象を受ける。意味が分からない。どうして「将来の話」をしている人と「過去の話」をしている人が言い争いをできるんだ?
他にも、別の軸で話している人がまた別の軸の人を攻撃して、それにまた全く別軸の話を持ってくる人が加勢するという構図もあって、もはや大乱闘スマッシュブラザーズである。こんな調子だからお互いに暴言と差別意識と被害者意識をぶつけ合うだけで議論が深まるはずもないし、憎しみと偏見が増すばかり。こんな議論に関わっても誰も1ミリも得しない。
というか、ぶっちゃけ議論ではないんだろう。この燃え盛る炎上に、自分が日々抱えているルサンチマンを投げ入れて、キャンプファイアーを楽しんでいるのだろう。サービス業に従事する人は、こんなワガママな客がいるからスタッフが疲弊するんだと言うし、日々障害者差別を受けている人は、健常者はコレだから困ると言う。給料が少ない人は、こんな生産性のない奴になぜ社会保険料払わにゃならんのだとこぼすし、国外に住んでる人はジャップはまだこんなに遅れてるのと冷笑する。
みんな、この話題の本質を捉えていない。捉えられていないのではなくて、捉えない。だって必要ないから。この中から自分が話題に参加できそうなエッセンスを取り出して、このスマブラに身を投じているのだ。結局SNSなんて娯楽、Twitterなんて遊びなんだから。
今話題の車椅子の人がなんで批判されてるか、「平等」とか「公平」って言葉を出してる人がいたので絵にしてみた。 pic.twitter.com/YPMPdes0Mw
— もっちーに (@motsura) 2024年3月17日
なんだけど、「車椅子」でTwitterを検索するとイラストを描いてまでガチの障害者差別をしているツイートがあって、しかもそれが1万RPされていてビビる。みんながみんなこの炎上を遊びだと考えていれば良いんだけど、そうではなくて本気で障害者を憎んでいる層も結構いるみたいだ。こうした炎上スマブラ大会を繰り返すたびに、こうした分断は深刻になって行くんだろうけど、何とかならないんだろうか。