打ち首こくまろ

限界オタクの最終処分場

ルーテさんの一言一句を深く味わう(1/3)

こちらは ルーテさんアドベントカレンダー 4日目の記事です。

『覚醒』や『if』ではかなり濃いキャラクターが登場するようになったファイアーエムブレムシリーズですが、それ以前の作品の中でも屈指のキャラの濃さを見せつけていたのがルーテさんです。

しかし、作品中でルーテさんが語るセリフ量は決して多いとは言えません。そこでこのシリーズでは、ルーテさんの一言一句を取り上げ、改めてルーテさんがどれだけかわいいか、かっこいいか、尊いか、ヤバいか、無理なのかを振り返っていきたいと思います。

この記事では、ルーテさんが登場した4章のセリフ、そしてロスとの支援を取り上げます。

※以下、セリフはMiruPage様がまとめていただいたものを引用させていただいています。ありがとうございます。

4章 「異形の者たち」

【アスレイ】
ああ神よ。
なんということでしょうか・・・▼
【聖石】に守られしこの大地に
あのような不浄のものたちが・・・▼
【ルーテ】
・・・・・・▼
【アスレイ】
ルーテさん 外は危険です。
あなたはどうかこの村に・・・▼
【ルーテ】
あれはゾンビですね。▼
古の時代
魔王の尖兵となったという魔物です。▼
『ナザニアの魔書』
第二部第七章第八節に記載があります。▼

ルーテさん初登場シーン。魔物の登場にも全くうろたえることなく、冷静に分析しています。

この中で、「以前読んだ本の内容を、章数まで含めて引用できる」という特技も披露。この本を引用する流れは、作品を通して多く見ることができる、ルーテさんを象徴する特技になっていますね。

頭脳明晰なクールな女魔道士の登場かと思いきや…

【アスレイ】
ご存知なのですか?▼
【ルーテ】
私 優秀ですから。
大抵のことは記憶しています。▼
書物によれば
ゾンビは鋭い爪でひっかくそうです。▼
これは推測ですが
おそらくひっかかれると痛いでしょう。▼

このセリフで「あっちょっとやべー奴だ」と気づかされます。

書物を引用したセリフの後の、「おそらくひっかかれると痛いでしょう。」というセリフのそこはかとないアホさ。いや、「致命傷を負う」とか、「腐った爪なので傷跡が残る」とか、もっということはあるでしょうと。しかしそこで「ひっかかれると痛い」と言っちゃうのがルーテさんのヤバいところ。

この「優秀さ」と「アホさ」という正反対の軸がルーテさんの魅力の最大の部分。ルーテさんの言動がこの軸の間を行ったり来たりすることで、とんでもないキャラの濃さを出しているわけです。

冒頭ではさりげなく、ルーテさんを象徴する決め台詞も言っちゃってます。初登場シーンとしてこれ以上完璧なものはないでしょう。これだけ短いセリフの中でルーテさんを表現したスタッフに感服。しかしこれはルーテさんの深い魅力のほんの入り口にすぎません。

【アスレイ】
と とにかく・・・
私は彼らを助けに行って参ります。▼
あなたはそれまで
この村の警護をお願いします。▼
【ルーテ】
わかりました。
私は別に構いません。▼

「別に構いません」というセリフはカイルとの支援にも出てきています。「私の不都合にならなければ別にあなたのお好きにどうぞ」という、ルーテさんのクールな側面を表す言葉になっています(しかしカイルとの支援とは若干意味合いが違う)。

同時に、魔物を前にしても対峙できる能力を持っていることを自覚している、そしてアスレイもルーテさんの能力を信用していることがわかる場面です。

【ルーテ】
魔法は偉大な力です。▼
どんなに分厚い鎧をつけていても 
魔法の前にはまるで無力・・・▼
さすが 優秀な私が
選んだだけのことはあります。▼
たとえ魔物がこの村にやってきても 
私がいれば問題ないでしょう。▼

このセリフから、ルーテさんは「数ある選択肢から魔法を選んだ」ことが示唆されています。剣ルーテさん、弓ルーテさんの可能性…?

そもそも、何のためにルーテさんは戦闘能力を手にしたのでしょうか?(アスレイは修道士だから、いざという時の為の浄化能力を身につけているという説明は成り立ちそう)

それ以外の選択肢があったということから、学術的興味から魔法に手を出したというよりも、自分の能力を誇示したいと思っていた、そのために自分の適性に最も合っていたのが魔法だった、と考えるのが自然かもしれません。もしそうだとしたら相当な野心家であることが伺えます。

【エイリーク】
あなたは・・・?▼
【ルーテ】
・・・・・・▼
【エイリーク】
あの・・・?▼
【ルーテ】
私が見たところ あなたは新鮮です。▼
どうやらゾンビではないようですね。▼

ルーテさんがいる村に訪問した時のセリフ。明らかにゾンビではないと言える状況でも、根拠がなければ断定はしないというのがルーテさんの基本的なスタンス。

初登場時のセリフでも、ゾンビにひっかかれると「おそらく」痛いと言っていましたが、そう言ったのはひっかかれたことが無いから。学者としては極めて真摯な姿勢ですが、それが研究の分野ではなく全般に及んでいるのがルーテさんです。

【エイリーク】
あ 当たり前です。▼
旅人の方ですか?▼
まだ外には魔物がいます。
もうしばらくここで・・・▼
【ルーテ】
いえ 私も参戦しましょう。▼
私はルーテ。
卓越した才能をもつ稀代の魔道士です。▼
ゾンビは下級の魔物と書物にありました。
私の魔道でたやすく倒せるでしょう。▼
私 優秀ですから。▼
【エイリーク】
変わった方ですね・・・▼

「私、優秀ですから」と並んで、自分を「稀代の魔道士」と称するのもルーテさんを象徴するセリフのひとつです。

ただ、ルーテさんは実際優秀だからいいのですが、この時点で果たしてルーテさんは何を根拠に自分を優秀と称しているのかは気になるところ。

田舎の村の周囲に魔導師はあまりなさそうですが、まさか村の外に定期的に出ては腕試しをしていた? それとも日々研鑽を積むうち「何となく、優秀な感があります」となっていった? う〜ん、謎が深まる…

【ゼト】
魔物は一掃しました。▼
念のために火を起こし
骸を焼いておきましょう。▼
【エイリーク】
まさか
このルネスに魔物が現れるなんて・・・▼
魔物とは伝説の中の
存在だとばかり思っていました。▼

伝説ではゾンビは
最下級の魔物のはずでしたが・・・▼
戦った限りでは
並の兵士以上の力を感じました。▼
油断できる敵ではないようです。▼
【ルーテ】
ゾンビやマミーだけではありません。▼
スケルトン モーサドゥーグ
ガーゴイルにバール・・・▼
書物で語られているような
大物も出てくるかもしれません。▼
いかに優秀な私がいるとはいえ
苦戦は避けられないでしょう。▼
【アスレイ】
神よ・・・これは
何かの前触れなのでしょうか・・・▼

クリア後の会話。珍しく弱気な発言をしていますが、これもルーテさんの持つ客観性がゆえでしょうか。

ロス支援C

【ロス】
なぁ、おまえ。▼
【ルーテ】
・・・・・・▼
【ロス】
そこのおまえだよ、魔道士の女!▼
【ルーテ】
・・・私の事でしたか。▼
てっきり、『オマエー』さんを
呼んでいるのかと思いました。▼
あなたは?▼

ルーテさんの鉄板持ちネタ。カイルとの支援Cでも同様のやり取りがありますが、こうやって杓子定規的に物事を捉えることの多い彼女です。

ただ状況を考えると、そばに『オマエー』さんらしき人がいたのかどうかは疑問。

【ロス】
俺は戦士ガルシアの息子、ロスってんだ。▼
【ルーテ】
そうですか。センシガルシアノムスコロス。
長い名前ですね。▼
私は稀代の天才魔道士、ルーテです。▼
それでセンシガルシアノムスコロス。
何か用ですか?▼

説明不要の超有名ネタですね。上述の流れから本気で名前を誤解している可能性が高いですが、この後の会話の流れを考えると、実はロスをからかっている可能性もなきにしもあらずです。

【ロス】
お、俺の名前はロスだ!
変な奴だな・・・▼
なぁ、おまえ魔法が使えるんだろ?▼
【ルーテ】
はい。▼
正確には使えるというレベルではなく、
自在に操る事ができる・・・▼
と、ご認知下さい。▼

「自在に操る事ができる」というのはどのようなレベルでしょうか?

FEの世界では魔導書があるため、他の作品のように自由にオリジナルな魔法を使える、というわけではなさそうです。であれば、例えばサンダーを狙い通りの場所に落とすことができる、とか?

そういえばカイルとの支援でも、魔法を使って料理ができるというセリフがありました。これも、ファイアーの魔法も温度を自由自在に調節できるということでしょうか(豪快に焼くとか言っていますが…)。

【ロス】
へぇ、すげぇな。▼
【ルーテ】
私、優秀ですから。▼

謙遜することもなくこのセリフを言ってしまうのもルーテさんらしいです。

というか、ルーテさんは自分が優秀であることを自覚しているので、ここで謙遜を言ってしまうと嘘を言ってしまうことになります。よく言えば素直、悪く言えば不器用なのがルーテさんです。

【ロス】
魔法って、
覚えるの難しいんだろ?▼
【ルーテ】
一般的にはそう言われていますが、
人それぞれの適正によります。▼
実際、私にとっては
年頃の少女が焼き菓子を焼く際に、▼
香り付けとして酒を使用する事を覚えるのと
同じぐらいに容易な事でした。▼

この謎の例えを持ち出すのもルーテさんの十八番。例えとして出してるということは、ルーテさんも焼き菓子を作ったことある…? 祖母と一緒に作ったことがありそうですが。

というかよく考えると、焼き菓子を焼くときに香りづけのお酒を使うのってハードル高くないですか? おれおじさんだからよくわからない…

【ロス】
よく分かんねぇけど・・・
俺も、頑張れば覚えれるかな?▼
【ルーテ】
無理です。▼
【ロス】
即答かよ!
少しは考え・・・▼
【ルーテ】
では。▼

とバッサリ切り捨ててルーテさんは去ってしまいます。

ここで即答できたということは、ルーテさんは日頃からロスを観察していて、ロスの適性を見抜いていたということでしょうか?

ロス支援B

【ロス】(左)
あっ、変な女!
ええっと、確か・・・ルーテ!▼
【ルーテ】(右)
はい。
あなたは確かセンシガルシアノムスコロ・・・▼
【ロス】
ロ・ス・だ!▼
この間は、さっさとどこかに行きやがって。▼
【ルーテ】
いいえ、それほどでもありません。▼

「大抵のことは記憶しています」と言っていたルーテさんですが、ロスの名前を正しく覚えていません。というよりも、一度間違って覚えてしまったものを修正することが苦手なんでしょうか?

会話も全く噛み合わず、ルーテさんのアホさが前面に出ています。 しかし、これがロスをからかっているかどうなのかは議論の余地あり。

【ロス】
誉めてねぇ!
・・・まぁいいさ。▼
ところでさ、▼
【ルーテ】
では。▼
【ロス】
・・・って、ちょっと待てよ!
いつも急に立ち去るなって!▼

支援Cと同じように急に立ち去ろうとするルーテさん。ロスとの支援は彼女の自由人っぽさが存分に現れている感があります。

【ルーテ】
何ですか?▼
【ロス】
いや、別に用事って訳でもねぇけど、
せっかくだから話でもしようかと。▼
【ルーテ】
生産的な価値があるようにも、
戦略上重要なようにも思いませんが、▼
まぁ、いいでしょう。
始めて下さい。▼

パンチの効いた厳しい言葉。支援会話は戦場で行われていることを考えると、ルーテさんは戦闘に集中したいのかもしれません。(別の支援会話では戦闘中に虫の観察そしていますが…)

そして、この後にはロスの人生相談(?)が行われます。

【ロス】
始めて下さいって・・・何だかなぁ。▼
実は、オレの母ちゃんも
少し魔法を使えたらしいんだ。▼
今はもう死んじゃっていねぇけど・・・▼
だから、オレも少しは魔法を使えるかな?
とか思ったんだけどよ。▼
お前、この間はすぐさま、
無理って言っただろ?▼
【ルーテ】
魔道士になりたいのですか?▼
【ロス】
いや、別にそういう訳じゃねぇけどよ。▼
【ルーテ】
なら、あなたはあなたの目指す道を
突き進むのが良いかと思われます。▼
人には適性があります。▼
今のあなたの道は、
あなたには割と適正だと判断します。▼

自己主張の激しいルーテさんですが、ここではロスの話をじっと聞いています。これはレアな姿というわけではなく、他の支援会話でも相手の話をじっと聞くルーテさんを見ることができます。仲が深くなると見ることのできる、ルーテさんの意外な一面といった感じでしょうか。

また、支援Cのようにロスの相談を一瞬で切り捨てるというわけではなく、ロスの今いる立場を肯定するような返答をしています。ルーテさんの人間的な暖かさを見つけることのできる場面です。

【ロス】
・・・そうだな。
お前の言う通りだ。▼
いやまぁ、別に迷ってたとか
そんなんじゃねぇんだ。▼
ただ、ちょっと女の魔道士と
話してみたかっただけだ。▼
ありがとよ。▼
【ルーテ】
はい。
お役に立てたなら幸いです。▼

こうして、支援Cのバッサリ感とは全く逆の、いい話の雰囲気で終わります。

こうしてよく見てみると、支援Cと比べてルーテさんの態度が軟化していることがわかります。セリフに前面的に表れているわけではありませんが、ルーテさんはロスに少しずつ親しみを抱いていることが分かるのではないでしょうか。

ロス支援A

【ロス】(左)
よう、ルーテ。▼
【ルーテ】(右)
あなたは・・・ロス。▼
【ロス】
おっ、やっとまともに名前を覚えたか。▼
【ルーテ】
私、優秀ですから。▼
【ロス】
そうかぁ?▼
【ルーテ】
・・・今日は私を侮辱しに?▼
【ロス】
って、何でそうなるんだよ!
相変わらず変わった奴だな。▼
【ルーテ】
ありがとうございます。▼

ようやく噛み合ってきた…ように見せかけてやはり噛み合わない会話。ただ、ルーテさんは変わり者と言われることに優越感を感じるタイプなのかもしれません(厨二病とか言うな)。

【ロス】
だから誉めてねぇって!
おまえ、昔からそうなのか?▼
【ルーテ】
幼少の頃から私は私です。▼
物心ついた時には魔道書や
様々な書物に囲まれていました。▼

ルーテさんの生い立ちに関する重要な証言です。書物・魔導書に囲まれていたということは、ルーテさんの親が学者、あるいは魔導師であった線が非常に濃厚です。

そんな職業についていればかなり裕福な暮らしだったはず。しかし、それが何故あの様な田舎の村に…?

【ロス】
ガキの頃から魔法とかの勉強かよ?
小さい頃、何して遊んだんだ?▼
【ルーテ】
・・・アスレイ観察。▼

これも重要な証言。幼少の頃からアスレイと一緒に遊んでいた事が分かります。10年以上ルーテさんに観察され続けてきたアスレイ… うらやましい…

【ロス】
何だそりゃ?
父ちゃんや母ちゃんは?▼
【ルーテ】
父、母の記憶はありません。▼
しかし、祖母が言うには亡くなった訳ではなく
遠い国へ旅をしているそうです。▼

ここでルーテさんの両親が、幼い頃に既に亡くなっている事が読み取れます。書物や魔導書は両親の遺品でしょうか。

「遠い国へ旅をしている」というのは、幼い頃のルーテさんに言った祖母の言葉を引用しているわけですが、ルーテさんはその言葉を信じているのでしょうか? 信じているのかもしれませんが、僕が推す解釈としては、「ルーテさんは両親が亡くなっていることに気づいている、しかし証拠がない以上断定するわけにもいかないので、祖母の言葉を暫定的な真実として扱っている」です。

【ロス】
へぇ・・・▼
あっ、婆ちゃん、いるんだな。
どんな婆ちゃんだ?▼
【ルーテ】
長い間日干しにした高級魚に高原の花を二つに
折って添えた感じの人物です。▼
【ロス】
良く分かんねぇ・・・▼

重い話題に触れてしまったことに気づいたのか、ロスは話を変えます。

例えは謎ですが、とりあえずシワシワになっている祖母がいるということは確認できます。結構な高齢であることは想像できますが、そんな祖母を一人田舎においてきて大丈夫なのでしょうか… と思いながら気づきました。ルーテさん、この祖母が存命だとは一言も言ってませんね…

【ルーテ】
では、本日はこれで。▼
【ロス】
あっ!
あのよっ、ルーテ!▼
【ルーテ】(右)
はい。▼
【ロス】
おまえ、魔法は凄そうだけど、
体力はあんまりなさそうだからな。▼
これからは、俺が・・・
その・・・近くで守ってやるよ。▼
【ルーテ】
どちらかと言うと、私があなたを守る事になる
確率の方が高そうですが・・・▼
【ロス】
だーっ! うるさいな!
こんな時は黙って「はい」って言えよ!▼
【ルーテ】
はい。▼

これ完全にプロポーズですよね? 全く噛み合わない会話を続けてきたルーテさんのどこに惚れたのか気になるところですが… まぁロスは思春期だしというのもありますが、魔法が使えるルーテさんに、亡き母親との共通点を見出して親近感を抱いたと考えると、なんだか微笑ましくなります。

ただ、ルーテさんの方はそうとは全く気付いていない様子。婉曲的な表現ではルーテさんにうまく通じないみたいです(その点、アスレイはルーテさんの扱い方をよくわかっている)。

【ロス】
まったく・・・
確かに、今は全然ダメかもしんねぇけど、▼
俺もそのうち、父ちゃんに負けないような
強え男になるから・・・待ってろ!▼
【ルーテ】
では、それなりに期待しておきましょう。▼
期待しすぎると裏切られそうなので
まぁ、ほどほどに。▼
【ロス】
ぐっ!!▼
ちくしょーっ! 見てろー▼

「それなりに」「ほどほどに」等の曖昧な言葉は、ルーテさんの第一印象からは中々想像できないワードです。思えばどの支援会話でも、最後の方になると柔らかい言葉・仕草をすることが多く、もしかしたらこちらの方がルーテさんの素なのかもしれません。

言っている内容は辛辣ですが、ルーテさんがロスに好意を抱いていることは確認できます。この言葉もルーテさんなりの冗談なのかもしれません。

次回はヴァネッサ・カイルの支援を取り上げる予定。