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競馬賭博 第65回有馬記念編

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 12月の寒空の下、彼女の柔らかな手を握って二人並んで談笑しながら歩くカップルがいる一方で、同じ空の下ではガザガサの馬券を握り潰しながらオッサン達が肩を並べて絶叫しながら競馬観戦をしているのである。今年も有馬記念の季節がやってきた。

 グランプリと言いながら今年活躍した馬が一切出てこない、まるで中日ドラゴンズ千葉ロッテマリーンズ日本シリーズやってるような状況でお馴染みだった有馬記念だが、今年は違う。GI馬は11頭。そのうち今年GIを勝った馬が7頭。GI勝利数は合わせて21勝。豪華というだけでは足りない、有馬記念65回の歴史上最もハイレベルなレースになってしまった。

 という訳で、久々に競馬予想してみたいと思う。ちなみに、馬券はここ3年当てていない。

展開予想

 先導したい馬はアエロリット・スティッフェリオ・キセキあたり。このうち、キセキは陣営のコメントや最近のレース振りから見ても、あまり積極果敢に逃げたりしたくなさそう。スティッフェリオは逃げたとしてもスローにコントロールしたいタイプ。アエロリットは距離不安があるためこちらもスローの逃げになる可能性大。たとえハイペースの逃げになっても誰もそこに着いて行かなくて単騎の大逃げになり、他の馬にとっては結局スローペースになりそう。結局、前半のペースは61秒〜62秒あたりのスローになると予想。

 仕掛けどころとしては2周目の向正面あたりか。リスグラシュー・フィエールマンあたりは無尽蔵のスタミナを生かしたいし、アーモンドアイもポジションを上げて行きたくなってくる頃。残り1000m地点でジワジワとペースが上がって、4コーナー出口地点が最速の二段階加速、という有馬記念にありがちな展開になりそう。

 馬場の傾向から見てもそこそこタイムがかかりそう。少なくとも東京競馬場のようなパンパンのスピード馬場ではない。タフな馬場で2500mを走りきるスタミナ、それを前提としてロングスパートへの対応、さらにはラストスパートの一足で出し抜く力という、あらゆる長距離能力が求められるレースになると予想する。

予想

リスグラシュー (2番人気: 7.7倍)

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 現役最強だと信じている。

 宝塚記念はタイトなペースで流れながら、残り800m地点からのロングスパート勝負だったんだけど、そのペースを先行しながらあっさり突き抜けて3馬身差圧勝。2着のキセキはこの展開になったら相当しぶといはずだが、それを全く相手にしなかったのは衝撃的なパフォーマンスで、スタミナを要求されるレースなら間違いなく現役最強だと思う。

 オーストラリアのコックスプレートでも頭のおかしいパフォーマンスを見せている。4コーナーでは最後方で大外を回してたが、実はこのコーナーは5メートルの上り坂になっているそう。つまり大外を回して坂を駆け上りながら馬群を交わしきっての圧勝。パワーもスタミナも兼ね備えて、短い直線で勝負を決めてしまえるスピードも持っている。

 馬自身に不安は全く無い。全てを兼ね備えて弱点がない上に、宝塚記念で見せた圧倒的なスタミナ。年末のタフな馬場で、スローからのロングスパート戦になるのならばリスグラシューが間違いなく強い。鞍上のダミアン・レーンが中山初騎乗なのが少し不安だが... あれだけの天才ジョッキーだし、上手くやってくれることを期待したい。

 それにしても3歳の時には同期の牝馬にケチョンケチョンにされてきた馬が、最後の最後に有力馬として有馬記念に出走することになるとは... 昔からのファンという訳ではないけど、それでも3年間走り続けているのを見てきているし、思い入れが凄くある。勝てなくてもいいから、リスグラシューの強さの全てをラストランに魅せてほしい。

○フィエールマン (5番人気: 14.5倍)

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 長距離適性を重視するならば、超長距離GIを2勝しているフィエールマンは外せない。

 このうち、菊花賞は残り400mしかレースしてないどうしようもないレースなので考えないとして、今年の天皇賞(春)が素晴らしい。1000m60秒を切る早いペースから極度の中弛み、そして3コーナーから楽な手応えで先頭に競りかけると、4コーナーからのグローリーヴェイズとの一騎打ちを制しての優勝だった。最初は超低レベルレースだと思ったけど、2着のグローリーヴェイズはこのレースと似たような展開になった香港ヴァーズを3馬身半差圧勝。それを物差しにすれば、フィエールマンの能力も相当高い。

 あとは状態面だけ。凱旋門賞は惨敗だったんだけど、心配なのはディープインパクト産駒は海外遠征から帰ってくると、別馬のように弱くなってしまう事があること。マカヒキにしろサトノダイヤモンドにしろ、遠征後に急激を能力を落としてしまい、全盛期の輝きを取り戻せないケースを見てきている。フィエールマンがそんな状態に陥っていないか心配。そこが克服できれば3着以内はかなりの確率である。

▲キセキ(8番人気: 25.7倍)

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 動画は追い込んで勝った菊花賞だけど、今ではかなりキャラクターチェンジしてきて、タイトなレースを先導してロングスパートで粘りこむ戦法でGI戦線を引っ張っている馬。つまり先行するスピードとロングスパートを敢行するスタミナを両方持っていないと出来ない芸当で、大体どんなレースでも対応できてしまう。

 今年の宝塚記念リスグラシューが強すぎただけで、キセキ自身も3着を2馬身突き放している。大阪杯も、渋った馬場を先行して800mのロングスパート、そして2着に粘り込んだ。スタミナなら現役屈指。できればコテコテのロングスパート戦に出来ればいいのだが、陣営のコメントを見るにレースを積極的に引っ張る意識は無いっぽいので、400mではどうしてもトップスピードが要求される展開になりそうなのでこの位置。少なくとも8番人気にナメられる馬じゃない。

△アーモンドアイ(1番人気: 1.6倍)

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 間違いなくデタラメに強い。前走の天皇賞(秋)3馬身差圧勝はもう圧巻だったし、スピード競馬なら現役どころか2010年代最強だと思う。父ロードカナロアがスプリント路線で爆発させていたスピード能力をそのまま受け継ぎ中距離路線で爆発させているような馬で、もう他のサラブレッドと一線を画しているのではないか。

 だがそれはあくまでもスピード競馬の話。アーモンドアイは長距離的なスタミナが要求されるレースをほとんど経験した事がなく、そこが唯一にして最大の不安。ジャパンCで2400mのレースを超絶レコードで制している訳だけど、超高速馬場の東京競馬場と、年末のタフな馬場の中山競馬場では、求められるスタミナ量が全く違う。そのスタミナをアーモンドアイは持っているのか、それは全くの未知数になる。単勝1倍台の信頼度は無い。

 一方で、近年稀に見るレベルの怪物であるアーモンドアイ。スタミナが要求されてもあっさり突き抜けて勝ってしまうかもしれない。だけど、超抜のスピードと無尽蔵のスタミナ、その両方を兼ね備える馬なんて存在していいのだろうか。アーモンドアイが優勝するのならば間違いなく日本競馬史上最強馬という称号が与えられるだろうし、そして僕は神の存在を信じ始めると思う。

△サートゥルナーリア(3番人気: 7.8倍)

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 アーモンドアイと同じく父ロードカナロア。しかし、アーモンドアイと違って、サートゥルナーリアの本領は一瞬の加速力にある。神戸新聞杯では超スローペースからの直線だけのレースだったが、その加速力とトップスピードは他馬と次元の違う領域にいた。

 弱点はそれが一瞬しかない事。皐月賞は直線序盤で一伸びして圧勝かと思いきや、ヴェロックスに詰め寄られての辛勝だった。

 タフな馬場なので、アーモンドアイと同じくスタミナの不安がある。しかし、スタミナが完全に削がれずに4コーナーまで来た時、持ち前の加速力が火を吹いて出し抜く事ができれば、3着以内はもしかしたらあるかもしれない。例年では本命になるのかもしれないが、今年はライバルに怪物が居すぎる...

△スワーヴリチャード(6番人気: 18.5倍)

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 前走のジャパンカップは低レベルだったかなと思う。3歳牝馬のカレンブーケドールと3/4馬身差だった訳で、これをもって復活とかは考えない方がいいと思う。

 ただ、こういう道悪の馬場をこなせたのは有馬記念を戦う上では大きいし、またリスグラシューが圧倒した宝塚記念でも3着に入っている。一定量のスタミナは持っているし、内枠を利して噛み合えば... というところ。

アルアイン(15番人気: 111.9倍)

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 今年の大阪杯勝ち馬がこの人気。本当、どの馬が勝っても驚けないレース。

 スワーヴリチャードと大体同じ理由になる。渋った馬場の大阪杯を、内を通したとはいえクビ差制した。本来のこの馬であれば、渋った馬場でスローペースから入るのであれば力を十分に発揮できる。ただ、ここ2走の結果が余りにも悪すぎるので、なんとか持ち直してくれればワンチャンスあるかな...

△クロコスミア(16番人気: 146.5倍)

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 大穴。というか、クロコスミアが最下位人気になってしまうところに今年の有馬記念のメンバーのヤバさがある。エリザベス女王杯3年連続2着の実力馬。そして負けた相手はモズカッチャン、リスグラシュー、ラッキーライラックという名だたるメンバー。牝馬限定戦と思うなかれ、レースレベルは相当に高い。

 ここ2年ではレースの仕掛けを先導して、800mのロングスパートから必死に粘りこむという戦法をとっている。この再現が有馬記念でも出来れば、3着以内に残れるチャンスは十分にある。

消 ワールドプレミア(4番人気: 11.5倍)

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 菊花賞馬は有馬記念とは非常に相性がいい。それは有馬記念には長距離適性が求められるからだと思っているのだけど、今年の菊花賞馬のワールドプレミアは消した。

 純粋に、今年の菊花賞はレベルが低かったと思う。ちゃんと長距離的なレースになっているし全馬が力を出し切ったと思っているけど、馬場が悪いわけではないのにタイムが遅すぎる。この勝利も武豊が最内を上手く立ち回ってのもので、ワールドプレミア自身のパフォーマンスはそれほど高くはない。その前提で、この怪物だらけのメンバーの中で食い込める余地があるかと言われると、NOだと思う。

レイデオロ(7番人気: 22.6倍)

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 衰えかな...と思う。去年まではトップクラスのパフォーマンスを見せ続けていたけど、今年は惨敗続き。特に前走のジャパンカップで11着というのは、全盛期の彼からすれば考えられないぐらいに負けてしまった。ここから持ち直すのは難しいかな... 2歳の時からホープフルステークスを勝って、ダービーも勝って、そして天皇賞を勝ったのは十分すぎるほど立派だった。

消 ヴェロックス(9番人気: 25.9倍)

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 現時点では明確な武器がない器用貧乏な馬。流石にこのメンバー相手に太刀打ちはできないかな...

 父ジャスタウェイも祖父ハーツクライも、4歳秋まではイマイチだった。おそらくヴェロックスもそのタイプ。だから、来年はもしかしたら大化けするかもしれない。ジャスタウェイの現役時代のファンとして、その時を楽しみに待ちたい。

消 アエロリット(11番人気: 83.8倍)

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 もっとこの馬の逃げを見たかったんだけど、もう引退か... 今年の天皇賞(秋)は本命でした。アーモンドアイには負けたけど、アエロリットも稀代の名牝だということを証明してくれたと思う。

 明確に距離不安。ハイペースで飛ばすにしてもバテる不安があるし、スローにしても切れる脚が使えるわけではない。この距離では残念ながら勝ち筋が見えない。

 だけどラストランに有馬記念に出てくれるのは、1人のファンとして感謝したい。なんとか、悔いのないレースを。