打ち首こくまろ

限界オタクの最終処分場

あなたの知らないミリシタMVの世界

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 Q. ズバリ、ミリシタのセールスポイントとは?

 豊富な楽曲と高頻度の楽曲追加、音ゲーにしては敷居の低い難易度、フルボイス&3Dのコミュなどなど、まぁ色々あるんだけど、もし仮に自分が「ミリシタどころかミリオンライブ・アイドルマスターを全く知らない人間」にミリシタを売り込むならば、僕はミリシタのハイクオリティなMVを激推しすると思う。

 ミリシタが登場した2017年6月、同様にMVを搭載していた音ゲーデレステぐらいしかなかったのだが(他にあったらごめん)、その後「ラブライブ!」や「ときめきアイドル」もMVを伴った音ゲーに参入、女性向けでも「あんさんぶるスターズ!」も参入しており、正直3DのMVを搭載している音ゲーはもう珍しくない。

 そんな状況でもあえてミリシタのMVを推すのは、そのMVのクオリティが他の追随を許していないと思うから。特に「細やかな指先の振り付け」「表現力豊かなカメラワーク」「楽曲の世界観を補強する照明・セット」へのミリシタのこだわりは尋常ではなく、これらのストロングポイントが他ゲームのMVに対する十分な差別化要因になっていると考える。

 そういうストロングポイントをミリシタの広報には強く推してほしいのだが、残念ながら広報は180回ガシャ無料以外宣伝する気は無いようなので、自分がこの記事の中で推していくことにする。この記事では「ミリシタを知らない人にも凄さが分かりやすい」ラインナップを心がけた。みなさんが周りの人にミリシタを推す際の参考になったり、ミリシタを知らない人への導入になったら幸いである。

花ざかりWeekend✿ - サビ

 まず最初に非常に分かりやすい例を1つ。昼間は地味に一生懸命働くOLが、金曜日の夜に街に繰り出して花開くという曲。ミリシタで一番バズりましたね。

 Bメロまではオフィス、サビは華やかな街と舞台がクッキリと分かれている曲なのだが、その切り替わりを「振り付けに合わせて上にスクロール」->「角度は同じだが、ステージ全体を映し出す開いた構図へ」という擬似カット割りで見事に表現している。カメラワークが楽曲の世界観を補強する、ミリシタの得意技の1つだ。

 ちなみに、このサビ突入の部分では音ゲーの譜面でも上フリックが割り当てられており、振り付け・カメラワーク・譜面が全てシンクロしている。ミリシタでも屈指の脳汁が出る場所。

待ちぼうけのLacrima - イントロ

 カメラワークが世界観を表現している例で分かりやすいものをもう1つ。真冬を舞台にした曲なので、天井から舞い落ちる紙片は当然、その日に降っている雪の比喩なのだが...

 それに加えてカメラの視線も天井から舞い降りて、アイドルを捉えたかと思えばまたふわりと宙に浮かぶという、あたかも冬の寒風に翻弄される粉雪から見た視点のようなカメラワーク。現実にはあり得ないこのカメラワークだが、これを通してこの曲の世界の季節、温度、そして主人公の心情を表現し、さらに見るものをこの世界に引き摺り込むかのような臨場感を味わわせる。

ジレるハートに火をつけて - 冒頭

 この曲、ミリシタのMVを語る際に不思議と名前の挙がらない楽曲だが、個人的にはミリシタ初期MVの最高傑作だと思っている。

 仄暗い照明の中で始まるイントロ、そしてスネアの3連打に合わせてカメラがズームアウトしステージ全体を映し出すとともに燃え上がる炎。最後はステージの背面からアイドル達の横を通り抜け、燃え上がるステージと客席を映し出す、ゆっくり、だがダイナミックなカメラワーク。

 決して燃え上がってはいない、だけどジリジリと焦がれてもう発火寸前、といった心情を描いたこの曲だが、それにバッチリ組み合わさったカメラワークと演出だと思わないだろうか。レーザーが飛び炎が燃え盛るステージ、しかしそれを捉えるカメラは決して派手な動きやカット割りを行わず、冷徹にステージとアイドルを映し出している。冷静と情熱の間、そのギャップが並々ならない緊張感を生み出している。

 「ジレるハートに火をつけて」のMVはこの後も名場面の連続なので、興味湧いた人がいれば是非フルを見てほしい。

dear... - サビ

 ミリシタ名物のワンカットMV。曲の始まりから終わりまで一切のカットがないという、現実世界ではありえないカメラワークが展開される。

 「dear...」はワンカットMVの2つ目。「dear...」の楽曲自体が電子音をメインとした熱の少なめな音で構成されているのを反映してか、イントロからBメロまでのカメラはアイドルを捉えて周囲を回るだけの、非常にメカニカルかつ淡々とした動き。照明もスクリーンも大きな動きを見せない。

 しかし、サビに入った瞬間に一変。数十本ものレーザーが飛び、背後のスクリーンも白く飛んだ後に鮮やかな色を見せる。カメラワークも、ステージ全体を映した後にアイドルの手にフォーカスするなどダイナミックな動きに。

 この動画ではカットしているのだが、サビが終わりイントロのメロディが流れると、再び淡々としたカメラワークに戻る。抑えきれない想いに呼応するかのように、サビでは色鮮やかな世界が展開されるが、それは一瞬の煌めき。そんな恋の儚さを表現したこのMVはあまりにも美しい。

待ち受けプリンス - イントロ

 「ジレるハートに火をつけて」と合わせて個人的初期MV最高傑作の1つ。ワンカットMVとはうってかわって、こちらはとにかく派手な照明とカメラワークが特徴。

 ロボットダンス風の振り付けをストロボチックな照明で映し出した後、歌い出しが始まると1拍ごとにカットが変わる忙しない構成に。その内容もアイドルを下から煽る構図だったり、ステージ全体を映したと思ったら次の瞬間にセンターの顔に一気にズームするなど、たった22秒とは思えない密度でやりたい放題かつ派手なカメラワークが展開される。盛り上がり重視、ド派手な曲にふさわしいド派手なMVだ。

 実は、「待ち受けプリンス」の振り付け自体は過去作品実装されたものの流用ではある。

www.youtube.com

 ただ、このMVとミリシタでのMVを見比べると全く違う印象を受けることだろう(後者の方が派手)。過去作品の方ではゲームの設計上大胆なカメラワークをしづらいのだが、同じ振り付けを流用していてもほぼ別物と言ってしまえるほどリファインできてしまうのがミリシタのMVチームの実力といったところ。

ジレるハートに火をつけて - Aメロ

 「ジレるハートに火をつけて」からもう一つ紹介したいのが、先の動画の直後にあるこのシーン。

 2秒程度の振り付けなのだが、この左手の振り付けの複雑さ・滑らかさは常軌を逸している。何回再生してもどんな動きをしているのかよく分からない。こんな一瞬の振り付けに対して、どれだけの手間をかけたのだろうか。

百花は月下に散りぬるを - Aメロ

 同じく変態じみた振り付けから。この曲のMVは全体的に振り付けのキレが尋常ではないのだが、特にこの動画の「唇は〜」の箇所。指を口元に添えるまでの動きが本当に絶妙。顔の輪郭に沿って美しい曲線を描いているが、機械的な印象は全く受けない完璧なバランス。この部分だけで何度も見れてしまう。


 推しMVを全て紹介しようとするといくら文字数があっても足りないのでこの辺りで。他にもミリシタには名作MVが数多く存在する。

 個人的に好きなのは「Princess Be Ambitious!!」「Angelic Parade♪」「ライアー・ルージュ」「Marionetteは眠らない」「PRETTY DREAMER」「ラスト・アクトレス」「addicted」「恋心マスカレード」「フェスタ・イルミネーション」「アニマル⭐︎ステイション!」「教えてlast note...」...と、これも挙げていけばキリがない。知らない人は何らかの手段で見てほしいし、知ってる人は改めて見てみる事で新たな良さに気付けるかもしれない。ぜひ。